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トム・コネラン

P.115
名札にアニーと書いてあるキャストが、堰をきったように話しだした。「わたしは、すごく感激した手紙をもらったことがあるんです。小さな男の子からで、その坊や、もう助からないっていう病気にかかっていたんです。その子、ここに来たとき、サインをたくさん集めていたんですけど、そのサイン帳をなくしちゃって……。その日、その子のお母さんから相談を受けたのが、わたしだったんです。お母さんはもう、がっくり肩を落としていて、なんとかそのサイン帳を探してもらえないかというんです」
「そこでわたし、急いであちこちに連絡をとりました。思いあたるところは手あたり次第電話しました。紛失物の取り扱い窓口やら駐車場やら、片っ端から電話しました。でも出てこないんです。それで、お母さんに電話して、見つかりませんとお詫びしました。そして、いつお帰りになるのかも聞いてみました。すると、フロリダにあと二日滞在する予定だというんです。それでお母さんに聞きました。誰のサインが入っているのか、どんな形でどんな色のサイン帳なのか、いろいろ詳しく聞いておきました。そして、二日後にもう一度来てみてくださいといっておきました」
「そして、わたしたち、聞いたとおりのサイン帳を買ってきて、サインがしてあると聞いた人のサイン、キャラクターのサインをすべて集めて回ったんです。そして、二日後にやって来たお父さんにそれを渡しました。もう大喜びでした。わたしもすごくうれしくて……」
「それから一ヶ月ぐらいして、坊やの写真とカードが送られていきました。サイン帳が返ってきてから一週間後に死んだと書いてありました。坊やはみんなのサインを繰り返し繰り返しながめ、ここで遊んだ日のこと、何度も何度も話していたそうです。わたしはいまでも、そのカードと写真を大事にしています。しばらく掲示板に貼っておいたんですけど、いまは家にあります。それを見るたびに、胸がじーんとくるんです」
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